大人のバレエ上達倶楽部

基礎から変わる大人バレエコミュニティ

慌ただしい大人バレリーナの謎

こんにちは。

大人のバレエ上達サポーター、きよかです。

自分の踊りをビデオに撮ったりしてみると

よく分かるのですが、

大人バレリーナ、急いで見える人が多いです。

正確には急いでいる子供たちも

結構いますが、それは年相応で

元気な踊りに見えるので

ポジティブに変換されます。

でも大人になると、”元気”が

”慌ただしい”になってしまうんですよね。

 

今回は、慌ただしさを抜け

しかも、格段に踊りのクオリティも上がる

ポイントをお伝えしていきます。

当たり前だけど、

意外と出来ている人が少ない

ポイントでもあります。

 

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まず慌ただしく見えてしまう

原因をお話しするのに

バレエと切っても切り離せない

音楽についてのお話です。

 

音楽的なことから見ていくと、

音楽の構造上、一番盛り上がる場面の

クライマックスであり、

その音楽での最高音の部分は

終わりの1/3か1/4で出てきます。

ほとんど決まり事になっています。

 

現代音楽や、民族音楽では

それに限らないものもありますが、

バレエ音楽では、最初から

いきなり最高音のクライマックス

ということは、ほぼほぼありません。

段々と盛り上がっていくわけです。

 

 

これは、実は身の回りのものもそうで、

童話でも最初は、ごく普通の

おじいさんとおばあさんがいて、

そこから桃を拾ったり、

竹取りに行ったりした後、

クライマックスに向けて

物語が進んでいきます。

バレエのお話も、最初から結婚!

とかないですよね。

 

童話以外でも、自然現象も、

地震はプレートのズレが徐々に溜まり、

大きな揺れへと繋がりますし、

また人生そのものにも当てはまります。

 

 

こんな感じで、人の世の常として

クライマックスは段々と訪れます。

”徐々に巻き込んでいき

終盤でクライマックスを迎えたら

収束へとたたみ掛ける”

これが人間が慣れ親しんだ王道パターンです。

 

 

このクライマックスの法則、

すごく当たり前のことですが

いざバレエになって自分が踊るとなると、

かなりの人が忘れてしまうんです。

忘れるというか、緊張したり

フリを覚えるのに一生懸命で

どうしても頭から無くなってしまうんです。

そうなると交感神経が優位になり

どんどん心拍数は上がり、

焦って、踊りが早くなります。

 

早い技が出来ないとか

技術的なことは置いておいて、

音より早くなってしまう人の方が

遅くなってしまう人より圧倒的に多いです。

 

 

 

なぜクライマックスの話をしたかというと、 

慌ただしく見える大きな原因の一つに、

クライマックスを

盛り上げきれないことが挙げられるからです。

 

最初から飛ばしてしまったり

クライマックスが不明確で

効果的に強調されないと

全体的に慌ただしく見えてしまいます。

 

逆に、踊りの強弱を上手く掴めて

見せ場がはっきりしていれば

それだけで何か安心感や

上手な感じが出てきます。

 

なので、見せ場である

クライマックスの部分は、

アンシェヌマンが分かった地点で

決めておく必要があります。

 

 

これは人間の脳の面白いところで、

また、良くも悪くもあるところですが、

何でもペース配分が分かっていれば、

自ずと体力温存して

やり通すことが出来ます。

つまり良くも悪くも

計算してしまうんですね。

 

計算とは聞こえが悪いかもしれませんが、

バレエにおいて、ある程度の計算は、

絶対に必要です。

言葉のない踊りの中で、

自分が伝えたいことと、

見る人が感じ取ることを

なるべく近づけたいからです。

 

クライマックスを決めておくと、

最初から飛ばし過ぎて、

肝心の見せ場で体力が残っていない心配が

格段に減るという利点があります。 

 


この流れで具体的に、

強弱についてもお話しすると、

バレエでは、指示がない限り、

段々踊りを大きくしていく

というルールがあります。

(前述のクライマックスの法則にも当てはまります。)

 

なので例えば、同じ動きが2回、3回

と続く場合、段々と強調していきます。

一番最初が一番大きくて、

段々小さくなることは、

例外を除いてありません。

元気に踊り始めたのに、

バテバテで終了は無しなんです。

 

 

 

と、段々と大きくしていくのが

一般的なルールなのですが、 

そこにもう一つ追加するものがあります。

臨場感とか、感情、

これも段々と上げる必要があります。

 

楽器の演奏も同じで、

楽譜記号で表されて分かりやすいので

例にすると、楽譜に<(次第に大きく)

>(次第に小さく)があったら

音量だけでなく、背景の感情や

スケールなども念頭に置いて

演奏していきます。

 

バレエも同じです。

強弱に臨場感を乗せます。

 

これを身に付けるための説明で、

一番分かりやすいかなと思うのが、

サプライズの感覚を持っておくということです。

 

見せ場が来るまで、

機械的にならないように、

体力的にも、感情的にも溜めながら

クライマックスでサプライズ!

みたいな感覚を持っておくと

慌ただしくない、強弱のはっきりした

踊りにすることができます。

 

序盤で飛ばしすぎたり、

見せ場を決めなかったり、

これって、最初にバラしちゃうとか、

サプライズ出しそびれちゃうとか、

そんなサプライズ失敗みたいな感じです。

 

 

見せ場を決めたら、

サプライズをイメージして 

踊りを組み立てていくと、

慌ただしさから抜けられるだけでなく、

いつの間にか、見せられる踊りにもなっています。

 

 

と言っても、感覚を掴むまで

まずは、クライマックスの法則に則って

王道で分かりきったサプライズを

組み立てると良いかなと思います。

最初から本物のサプライズは

あまりオススメしません。笑